過蓋咬合の治療例

過蓋咬合(噛み合わせが深い)の治療例

過蓋咬合とは?

噛み合わせたときに上の歯が下の歯を覆って見えないほど噛み合わせが深い状態のことをいい、ディープバイトと呼ばれることもあります。噛み合わせが深いことで顎の関節に負担がかかり顎関節症につながることがあるため、噛み合わせをあげて治療することで顎の関節へかかる負担を軽減することが必要です。

CASE1

初診時年齢 13歳
主訴 歯並びのガタガタを治したい
口腔内所見 上顎の左右犬歯(糸切り歯)が完全に歯列からはみ出して八重歯になっていました。下顎の前歯も舌側に倒れ叢生(歯並びのガタガタ)が著しく、上顎の前歯が下顎の前歯を完全に覆って噛み合わせが著しく深い状態でした。上下第二大臼歯(12歳臼歯)が萌出し始めていましたが、顎骨が狭小でスペースが不足していて半埋伏が予想されます。
診断名 著しい叢生(ガタガタの歯並び)と過蓋咬合を(通常よりも歯の噛み合わせが深い)伴う骨格性下顎後退症
装置名 マルチブラケット装置、歯科矯正用アンカースクリュー、パラタルバー、リップバンパー
抜歯部位 上顎左右4番抜歯
治療期間・
通院回数
3年7ヶ月・43回
費用の目安 800,000円(税込)※当時税率5%
(費用内訳)
検査・診断料:52,500円(税込)
矯正治療費(処置料・保定装置料を含む):684,500円(税込)
歯科矯正用アンカースクリュー:31,500円(税込)×2本
リスク・副作用
  • ① 矯正歯科装置を付けた後しばらくは違和感、不快感、痛みなどが生じることがありますが、一般的には数日間~1、2週間で慣れてきます。
  • ② 歯の動き方には個人差があり、予想された治療期間が延長する可能性があります。
  • ③ 矯正歯科装置の使用状況、顎間ゴムの使用状況、定期的な通院など、矯正歯科治療には患者さんの協力が必要であり、それらが治療結果や治療期間に影響します。
  • ④ 治療中は矯正歯科装置が歯の表面に付いているため食物が溜りやすく、また歯が磨きにくくなるため、むし歯や歯周病が生じるリスクが高まります。したがって歯みがきを適切に行い、お口の中を常に清潔に保ち、さらに、かかりつけ歯科医に定期的に受診することが大切です。また、歯が動くと隠れていたむし歯があることが判明することもあります。
  • ⑤ 歯を動かすことにより歯根が吸収して短くなることや歯肉がやせて下がることがあります。
  • ⑥ ごくまれに歯が骨と癒着していて歯が動かないことがあります。
  • ⑦ ごくまれに歯を動かすことで神経が障害を受けて壊死することがあります。
  • ⑧ 矯正歯科装置などにより金属等のアレルギー症状が出ることがあります。
  • ⑨ 治療中に顎関節の痛み、音が鳴る、口が開けにくいなどの症状が生じることがあります。
  • ⑩ 治療の経過によっては当初予定していた治療計画を変更する可能性があります。
  • ⑪ 歯の形の修正や噛み合わせの微調整を行う可能性があります。
  • ⑫ 矯正歯科装置を誤飲する可能性があります。
  • ⑬ 矯正歯科装置を外す際にエナメル質に微小な亀裂が入る可能性や、かぶせ物(補綴物)の一部が破損する可能性があります。
  • ⑭ 動的治療が終了し装置が外れた後に現在の噛み合わせに合った状態のかぶせ物(補綴物)やむし歯の治療(修復物)などをやりなおす必要性が生じる可能性があります。
  • ⑮ 動的治療が終了し装置が外れた後に保定装置を指示通り使用しないと、歯並びや、噛み合わせの「後戻り」が生じる可能性があります。
  • ⑯ あごの成長発育により噛み合わせや歯並びが変化する可能性があります。
  • ⑰ 治療後に親知らずの影響で歯並びや噛み合わせに変化が生じる可能性があります。また、加齢や歯周病などにより歯並びや噛み合わせが変化することがあります。
  • ⑱ 矯正歯科治療は一度始めると元の状態に戻すことは難しくなります。

治療計画

骨格性下顎後退症(骨格的に下あごが後退している)で奥歯の噛み合わせの関係がアングルII級(上の奥歯が前にずれている状態)で約6mmずれていて、叢生量(歯のガタガタ)が著しく大きいケースであることから、上あごの左右第一小臼歯を抜歯、下顎は歯並びのアーチを広げることで非抜歯にて排列します。過蓋咬合(噛み合わせが深い)に対しては上下の前歯を圧下(歯を歯肉方向に移動させる)させ、適切な噛み合わせの深さを構築します。

上顎・正面・下顎

  • 治療前
  • 治療中
  • 治療後

側面

  • 治療前
  • 治療中
  • 治療後

治療前後横顔

  • 治療前
  • 治療後

治療結果

歯科矯正用アンカースクリューの使用

著しい叢生(歯のガタガタ)と過蓋咬合(噛み合わせが深い)症例で、歯科矯正用アンカースクリューを使用することで小臼歯抜歯後のスペースの有効利用、歯並びのアーチの拡大を行いました。

噛み合わせの深さ(過蓋咬合)の改善

非常に難しいケースでしたが、前歯の垂直的コントロールを行うことにより治療目標通り良好な結果へ導くことができました。また口元の突出感も改善されご本人にもとても喜んでいただけました。

矯正治療におけるリスクについて

  • 1痛みがでる可能性があること
  • 2装置に擦れることで口内炎が出来やすくなる
  • 3治療への協力度が低いと治療が長引く可能性があること
  • 4歯みがきが難しくなるため虫歯や歯肉炎になりやすくなること
  • 5治療後、保定装置(リテーナー)を指示通り入れないことや、その他の指導内容が守れない
    場合、後戻りする可能性があること

※上記の内容は個人差があるため、全ての方に当てはまるものではありませんので参考としてご覧ください。
なお、記載の矯正装置は完成物薬機法対象外の矯正装置であり医薬品副作用被害救済制度の対象外となる場合があります。

各種料金について